オーガニック・ベジタリアン&ビーガンも楽しめる!自然派インド料理 ナタラジ

ナタラジ ストーリー:今日まで、そしてこれから

菜食カレー

日本で菜食インド料理「ナタラジ」が開店してから30年近くとなります。当時を振り返りながら、
ナタラジのこれまでの歩みとこれからについて、オーナーの奥さん・MASAKOさんが、ざっくばらんに語ります。
(2018年7月編集)

●日本ではじめての菜食インド料理店

Q.ナタラジがオープンしたのは、いつなのでしょうか?
それまで日本になかった、はじめての菜食インド料理ナタラジ1号店は、1989年9月に高田馬場、早稲田通り沿いに15席ほどの小さなお店を出したことから始まりました当時のメニューは、サモサやカチョーリ、セウといったインドの珍しいスナック類と、全粒粉のチャパティ、それにカレーはベジタブルや豆のカレーの二種類だけでした。
菜食料理
今から30年くらい前ですから、肉が入っていないなんてカレーじゃない、と思っている人がほとんどで、日本で菜食だけのインド料理屋をやるなんて、菜食すら珍しい時代ですから、そんなの絶対無理に決まっている、と周りからもさんざん言われましたよ(笑)

Q.それでも続けていこうと思った理由は?
インドはもともと菜食の人(ベジタリアン)が多いので、香辛料を巧みに使いこなした美味しい野菜料理がたくさんあるんですね。インドに行くと、これもカレー、こんなカレーもって、香辛料の良さを引き出した美味しいカレーがいろいろとあって、とにかく驚きでしたね。
ベジタリアンも多いインド西部のグジャラート州出身のオーナーは、もともと料理が得意で、大根やヨーグルトのカレー、かぼちゃのカレーなど、日本では今まで見たことも味わったこともない、野菜がたっぷりで満足感あるカレーをいろいろと作ってくれました。
肉や魚が入っていないとカレーじゃない、食べる気がしないという人に、とにかくその美味しさと衝撃をわかってほしかったですね。
菜食料理
●大豆ミートのナタラジ独自のカレーの誕生

Q.野菜だけのカレーしかないというのは、店にとって経営的には難しいんじゃないですか?
えぇ、相変わらず、「えー、肉ないの?それならいいや」と、店に来たのに席を立ってしまうというお客様は結構いらっしゃって、「うーん、食べてから言うのならまだしも、食べもしないで帰ってしまうなんて・・・」と残念な気持ちでした。それでナタラジのオーナーが、ソーヤ(大豆)を使ったカレーを作りました。
実は私もインドを旅しているとき、ターリー皿でいろんな野菜カレーのある食堂で、大豆のソーヤビーンワリを使ったカレーを食べたことがあったんです。日本のお麩をもっと固くしたような、小粒でころころしたソーヤビーンワリは、歯ごたえがあって香辛料と絡まって、おもしろいなと思いました。
ナタラジでは、それをさらに大豆の臭みがでないように何度も試作して、うまく香辛料をあわせて美味しくなるように工夫し、店のオリジナルのナタラジカレーとして、メニューに加えました。
菜食料理
そこで日本で最初の大豆ミートのカレー、ナタラジカレーが生まれました。最近になって、TVやメディアなどでもあらためて大豆ミートが注目されるようになりました。でも今から30年前に、日本で最初に大豆ミートのカレーを作ってレストランで提供したのはナタラジです。
日本では、「肉もどき」と考えられることもある大豆ミートですが、インドの家庭では、ソーヤビーンワリは手軽な食材として使われています。当初ナタラジではグルテンと言って小麦粉と大豆を混ぜたものを店で使っていましたが、現在はナタラジの全店で、大豆100パーセントでグルテンフリーのソイミート(大豆ミート)をナタラジカレーに使用しています。
もともとインドでは、栄養豊富な豆を上手に使った料理がたくさんあるんです。揚げ物のパコラやおせんべいのようなパパドも、豆の粉からできているんですよ。
食べる前から菜食という言葉に先入感で抵抗を持つお客様に、肉に似た食感の大豆の料理を紹介しながら、栄養豊富で満足感のあるいろいろな野菜カレーのおいしさと奥深さを伝えようと、日々努力を続けています。
とにかく肉の無いカレーってどんなものか、お客様に一度でも食べてみていただき、判断していただきたいという思いで今日まできています。

●ナタラジの歩み

Q.その後お店はどうなったのか、現在までの歩みをお話ししていただけますか?
菜食料理
1990年にオーナーの友人でもある、今のコック長のサダナンダが来日し、料理が大好きな彼のもとで、だんだんとカレーのメニューが増えるにつれて、キッチンのスペースが狭くなり、荻窪にもお店を出すことになりました。それまではチャパティだけだったのが、インドからタンドール窯を直接輸入して、ナンを提供しはじめました。
今思いだすと、この時代にはまだ日本で珍しいプーリーやイディリなどの南インド料理のメニューをいくつか提供したこともありました。このころバスマティなどのインディカ米を出したこともあるのですが、カレーというと日本米のカレーライスしか知らない日本人にとってはまだなじみのない頃でした。

荻窪店はその後、ナタラジのお客様のご紹介で、近くの広い地下のスペースを借りることとなり、1998年に、高田馬場店を荻窪に全面移転しました。
高田馬場は、小さいお店で認知度もあまりなかったと思っていたのですが、その頃、早稲田の学生さんだった人が20年以上たって今では社会の一線で働いていて、高田馬場のお店にはよく行ってたんですよー、という方にときどきお会いすることがあるんです。以前に私の娘の中学校の担任の先生が、「学生の頃はよくナタラジに行っていましたよ。自分にとって、思い出深くて癒される店でした」と言っていたというのを聞いて、本当に胸が熱くなりました。
ただひたすら、目の前の課題を克服しながら店を続けてきましたが、いろんな人と出会い、いろんな人に支えられて、今のナタラジがあるのだなあと、感謝の気持ちで一杯です。

その後、2000年に青山店を、2002年に銀座店をオープンして段々と都心に出て行った感があるのですが、2004年にはリゾート地・長野の蓼科に、メラ・ナタラジをオープンしました。
蓼科は冬になると雪なので、4月下旬から11月中旬のみの営業なのですが、標高1230mの新鮮な空気に、いつ行っても心もからだもリフレッシュされます。蓼科にはガーデンや温泉もあり、インドの著名な作家が制作したテラコッタの彫刻作品を展示しているマノカラ美術館を併設しています。ナタラジでお食事した方は無料で入場出来て、ひとときインドアートの世界を楽しめます。お土産などにインド雑貨とアジア衣料を販売しているコーナーもあります。

なんで長野県の蓼科に店を出したのですか、とよく聞かれます。人の多い繁華街じゃない田舎ですからね。ひとつには、山梨も含めて畑が近いことがあります。今は季節営業となっていますが、自然に囲まれた地にお店があることで、収穫したての自家農園や地場の野菜を店ですぐに使ったり、お客様にも自然に親しみ癒されながらお食事していただけます。それとナタラジにとっての遊びごころ。カラダにもココロにも地球にもやさしいというナタラジがずっと大事にしてきたコンセプトを、見失わないようにと思っています。
その後2008年から2015年まで関西に初めて大阪店を出店しました。大阪店はビルの都合で7年間だけでしたが、有り難いことにいまだに関西への出店を待っていてくださる方がいらっしゃいます。2015年9月には渋谷にカフェも楽しめるミラン・ナタラジをオープンし、2018年4月にはナタラジ原宿表参道店をオープンしました。原宿といっても喧騒から離れた場所の8Fなので、植物も多い落ち着いた広々としたナチュラルなスペースで、窓からの景色が素晴らしいです。

●ナタラジのこだわり料理

Q.ところで、インド料理は、地域によって料理の種類が違うと聞きますが、ナタラジはどうなのですか?
たしかに、インドは北や南など地域によって小麦や米などの主食が違ったり、カレーの種類も異なるものがあります。
当店でもよく、北料理店ですか、南料理店ですかと聞かれることがあります。でも、ナタラジでは、「北」や「南」の料理といった単純な分け方をするのではなくて、インドの広大な大地で生まれたその地方ならではの美味しくて元気になるカレーを広範囲に見つけ出して、皆様にお勧めしたいと考えています。だって、家庭の数だけ香辛料の使い方と料理の種類があると言われるくらい、インド料理は多彩なんですよ。その中でも、ナタラジの基本的なコンセプトはヘルシーで安心できる食材を使うということです。

ナタラジでは、北インド料理の代表的なナンを日本で初めて(おそらく世界で初めて?)天然酵母と国産小麦を使って作りました。いろいろな料理に使う基本の油も、コストは倍以上かかるのですが、より良いものを厳選して使っています。
私たちは、そういったことを、最初のころはまったく表に宣伝していませんでした。お店に来られるお客さまにとって安全で美味しいと感じてくれればそれで良いと思っていたからです。
ナンがあるインド料理店では、全粒粉のチャパティもあるのは珍しいらしいですが、当店では厨房が大変にはなるのですが、お客様の要望にこたえようと両方をお出ししています。
辛くて酸っぱくて、さっぱりとした南インド料理の代表的なサンバー(サンバル)はわたしも大好きで、ナタラジでは以前からサンバーをサイドメニュー のスープとしてメニューに加えています。ムング豆とチャナ豆をつぶして丸めて揚げたスナックのダル・ワラは西インド地方のものなんですよ。
これからも日本ではあまり知られていないヘルシーな料理を、いろいろと紹介していきたいです。
菜食料理
●何度でも食べたくなる、家庭料理が基本

Q.店を経営するにあたっての方針は、どのようなものでしょうか?
インド人のオーナーがいつも言っていて私たちが大事にしていることは、ナタラジは五つ星ホテルの「よそ行き」の料理ではなくて、たとえ豪華に見えても基本は「家庭料理」なのだということです。お母さんが、家族の健康と喜ぶことを願いながら食事を作るのと同じようにお客様に料理を提供し、こころからお食事を楽しんでいただきたいと思っています。

豪華に見えるだけの食事はいつも食べていたら飽きてしまう、でも、「家庭料理」は誰もが心からほっとして、じんわりと温かくなり何度も食べたくなる。ナタラジが目指すのは、そんな料理なのです。
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●インドの知恵と広大さ

Q.レストランではそれは難しくないですか?
どんなに有名なホテルで修行した料理人でも、毎日自分が食べたいと思う料理をお客様にも提供しなければ、意味がないですよね。それに料理をつくる側の人柄は、料理にもあらわれますよね。コック長のサダナンダは、男だけど、お母さんのような包容力のある暖かい人柄なんです。
料理をつくるのを楽しんでいて、調子が良いときは、鼻歌を歌ってクッキングしています。サダナンダが言っていたことで印象に残っていることがあります。
「インドではね、お金持ちはお金のためばかりに生きている人に見えて本当は人々から尊敬されていないんですよ。インドの社会はね、そういうところがあるんですよ」
インドはものすごい勢いで経済発展しつつあるけれども、貧富の差は相変わらずで社会が混沌(カオス)であるのは今も変わらない。でも一方で、インドは人生を楽しむ術を知っているというか、懐がおっきくて、「本当に大切なもの」をしっかりと見据えている面がある気がします。それがインドのすごさであり、知恵だという気がしますね。
たとえばアーユルヴェーダはインドの伝承医学ですが、香辛料の取り合わせで日々の体調を整えることは、インドの家庭でごく自然に受け継がれています。風邪をひいたらしょうがを多くとるとか、ターメリックをとるとか、それらがごく当たり前のように伝わっているんです。

●自家農園の野菜づくり

Q.ナタラジでは、自家農園で野菜をつくっているそうですね。
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ナタラジのオーナーはよく、日本の野菜はインドのよりサイズが大きいけれど、味気がないと言っていました。実際、インドの野菜はみんな小粒だけど、味はずっしりと深いんです。
最近は近代化の波でインドでも肥料をつかって大きくした野菜も見かけるようになりましたが、田舎では昔ながらのままです。そこで日本でもおいしくて安全な野菜を手に入れようと、自家農園で有機野菜づくりを試みました。今では特に春、夏の収穫期には、山梨と南房総からたくさんの野菜が届き、各店に届けています。
収穫した野菜は、日々のカレーやランチブッフェの他にも、ほうれん草カレーフェアや、パンプキンカレーフェアなど、季節の野菜ならではのメニューを提供することがあります。夏にスイカがたくさんとれた時には、デザートでお出ししたこともあります。野菜が高騰して手に入りにくい時期には、ありがたいことに自家農園のレタスやキャベツなど、収穫したばかりの葉物野菜が畑から送られてくるので、とても助かりました。玉葱やジャガイモなどの収穫期に人手が必要な時には、東京の店のスタッフがヘルプに行きます。自家農園の野菜は手がかかるし大変なことも多いけれど、恵みもたくさんあります。その恵みをお客様にもお届けしたいと願っています。

Q.いろいろなお話を、ありがとうございました。

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